こんにちは、豆太郎です!
映画『ファースト・マン』を観てきました!!
「感動して涙が止まらない!」といった類のものではなくて、「宇宙ってスゲエ!」と思わせてくれる映画でした。
1969年の人類発の月面着陸成功から50年を迎える年にふさわしい映画だと思います。
※ネタバレ注意!ここから先は、映画のあらすじで重要な部分が入っているので、知りたくない人は読まないでくださいね!
さて、この映画を観て一番気になったのは、
「ニール・アームストロングさんは、亡くなった娘さんの形見のブレスレットを月のクレーターに本当に投げ入れたのか?」
これは史実に基づいていたのか?
ってこと。
さっそく調べてみました!
ブレスレットを投げ入れるシーンって?
まず、どこのシーンのことを話しているかというと、映画の後半部分でニール・アームストロング船長がアポロ11号で月に到着します。
人類史上初の月面で最初の一歩を踏みしめた後のこと。
月のクレーターの方へ向かっていったアームストロング船長が、手に持っていたブレスレットをクレーターの中に投げ入れました。
そのブレスレットは、映画の前半に出ていた大切な娘さんの形見で、Karen(カレン)という名前が見えるものです。
ブレスレットを投げ入れながら、娘さんを回想する映像がいくつか映し出されます。
映画の中で、娘さんのことについて彼は口を閉ざしてしまうんですよね。
お葬式の後、そのブレスレットをデスクの引き出しにしまって、まるでカレンちゃんのことはそっと心にしまうように。
そして、数々の苦難を乗り越えた後に達成する月面着陸。その重要なシーンで再び登場するブレスレット。
「月面着陸という叶えられた夢」と「娘さんとの再開という叶えられない願い」が混ざって、とても複雑な気持ちがしました。
嬉しいんだけど、心から喜べないような・・・
これは実際に映画を観ないとわかりません。人それぞれ感じ方が違うはずですからね。
ただ、このシーンを見ながら、「どこまでがフィクションでどこまでが本当の話なのか?」が気になりました。
娘さんのことや娘さんに対する想いをコトバにすることのなかったアームストロング船長が地球へ帰ってきて、
「カレンのブレスレットを月に置いてきたよ!」
なんて報告しそうにないんですよね、どう考えても。
『ファースト・マン』の原作から
『ファースト・マン』は、2012年にアメリカで出版された本を元にして制作された映画です。
原書のタイトルは、”First Man: The Life of Neil A. Armstrong”です。
日本語に翻訳された上下巻を本屋で見かけたことがあるのではないでしょうか?
では、冒頭の疑問「アームストロング船長は本当にブレスレットをクレーターに投げ入れたのか?」に対する答えは・・・
その証拠はない!
というのが回答です。
この原作(ジェイムズ・R・ハンセン著)の中に、アームストロング船長が月へ持っていった私物について書かれています。
- アポロ11の月へのミッションを祝ったメダル
- 妻のジュエリー
- ライト兄弟の飛行機のかけら
- 彼の母校(大学)のピン
以上。
この中に娘さんのブレスレットは入っていないんです!
さらに情報を調べていると、宇宙飛行士が月に行くときには、持ち物リスト(マニフェスト)を提出する必要があるそうなのです。
しかし、これに関しても3つの矛盾する報道内容があります。
- 紛失してしまった(それ以上の記述なし)
- ニール・アームストロングさんの記録物などは、母校(パーデュー大学)が保管していて、その中にこのリストがある(2020年まで封印されている)
- パーデュー大学が保管しているものの中にこのリストはない
ニール・アームストロングさんの自伝的な本を書くために誰よりも長い時間(40年くらい)かけてリサーチしてきたハンセンさん。
ハンセンさんがアームストロング船長に直接見せてくれるように頼んでも、そのリストは出てこなかったそうです。
当時の奥さん(ジャネット・アームストロング)や妹さんによると
アームストロング船長の性格からして、紛失するようなことはないはずなのに・・・
しかもジャネットさんは、あの映画に登場する2人の男の子のものさえも月に持っていってくれなかったとやや不満に思っていたそうです。
だから、カレンちゃんのものなんて持っていってないと思っているはずです。
- 紛失したと言っている記事
‘First Man’ screenwriter explains how truthful the ending of the movie is - パーデュー大学が保管しているという記事
Did Neil Armstrong Really Leave His Daughter’s Bracelet On the Moon as First Man Depicts? (Esquire) - パーデュー大学にもないという記事
Interview: James R. Hansen, Author of the First Man Book About Neil Armstrong by Nell Minow
あのシーンが生まれたワケ
事実に忠実に作られたとされる『ファースト・マン』ですが、なぜあのシーンが生まれたのか?
映画をドラマチックに演出するためだけに挿入されたもの
と揶揄されそうですが、もしかしたらアームストロング船長がカレンの思い出のモノを投げ入れた可能性がゼロとは言い切れない理由があるんです。
それは、月で過ごしたあの時間の中で、
- 予定にはなかったのに、クレーターの場所に行った
- その時の様子はテレビカメラに写されていないかった
- 別の自伝でそのクレーターのことを娘さんのあだ名で呼んでいる
別の自伝というのは、ジェイ・バーブリーさんが著した”Neil Armstrong: A Life of Flight”という本のことです。
この本の中で、あのクレーターのことを娘さんのあだ名「マフィー」を使って、「マフィーのクレーター」と呼んでいて、
あの子だったらこのクレーターを見たら滑り降りたいだろうなと思った
らしいという記述があるんですよね。
結局のところ、真相はわかりません。
カレンに対する想いを考慮すると、故ニール・アームストロング船長も納得するのではないだろうか。
ということで、このような描写に対して関係者の方々からもOKが出たようです。
事実とフィクション、どちらも美しい!
そんな感じの複雑な映画なので、簡単に感想を言葉で表現しづらいものになっていると思います。
僕は小さな映画館で観てしまったので、宇宙船や月の様子をリアルに感じたい人は、IMAXなどの巨大スクリーンで観ることをおススメします!